まーしーのロンドン大医学部生活

University College London医学部6年生のロンドン生活、医学部での経験をお伝えします!(内容は個人の見解に基づくものであり、所属組織・その他団体と一切関係ありません)

オンライン授業でも臨床手技を習得したい!

新型コロナウイルスの感染が再拡大したことを受け、政府の方針で大学の対面授業は2月下旬まで中止されています。

医学部等実習を必要とする一部のコースはこのルールの例外とされていますが、それでも学生間での感染拡大を防ぐために、講義やチュートリアルは出来る限りオンラインに移行しています。

私も、オンラインのケースディスカッションや講義に出席していますが、clinical skills (臨床手技)のオンライン授業がとても独特なので笑、その様子をお伝えしたいと思います。

 

オンライン授業で扱った臨床手技

臨床手技の授業をオンラインで行うために、年度初めに必要な医療器具一式が配布されました。

しかし、処置を行う対象の患者さんの体やその模型は各自用意することが出来ません。そのため、なんと野菜や果物で代用して練習しました。

 

縫合

実際には皮膚を縫うところですが、バナナの皮で代用しました。

バナナが熟れていたからか、ピンセットで持ち上げたり糸を引っ張ったりすると簡単に皮が切れてしまって難しかったです。

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バナナの中身までは糸が到達していなかったので、この後バナナケーキにして美味しくいただきました。笑

 

Catheterisation(尿道カテーテル

一度半分に切ったきゅうりの中身をくりぬいて、再度テープで固定したものを尿道に見立てて練習しました。

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イギリスのきゅうりは日本のものより大きくて太いので、くりぬいても簡単に壊れませんが、中身をくりぬきすぎたせいか上手く挿管できませんでした。

挿管後にカテーテルの先にあるバルーンを膨らませる手順は身に着けることが出来ました。

 

筋肉注射

オレンジやレモンといった柑橘系のフルーツに針を刺しました。

野菜や果物を人体に見立てて、針を刺す前にアルコール除菌シートで患部を拭いたり、針を抜いた後ガーゼをあてたりするのは何度やっても慣れません。笑

 

番外編

先日大学の授業とは別に、家で縫合の練習をする医学生向けのオンラインセッションに参加しました。

オンライン授業の充実度を向上させ効果的な指導を行うために、ケンブリッジ大学の先生がリサーチの一環として企画したそうです。

事前に練習キットが自宅に郵送で送付され、当日の参加方法やスケジュールについてはメールでやり取りをしました。

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↑バナナよりしっかりした縫合練習パッドが送られてきました。笑

パソコンのカメラで私の手元を映しながら参加したところ、練習中に個別のフィードバックを受けられたので、楽しく学ぶことが出来ました。

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↑Interrupted sutures(結節縫合)を繰り返し練習しました。少しずつ上達していきたいです…!

 

最後に

本当は実習先の病院にあるclinical skills centreという施設で、模型や実際の器具を使って練習する予定でした。

もちろん、野菜や果物で練習したレベルでは患者さんに実際に処置を行うことはできないので、今後感染状況を鑑みながら、病院施設での練習が順次再開される予定です。

すでに順序は習ったので、先生の目の前で模型を使ってデモンストレーションをし、合格をいただけると晴れて現場で患者さんに対して処置を行うことができます。

医学部を卒業するまでに身につけなければいけない手技のリストを全てこなせるよう、スタートは少し遅れてしまいましたが実習中に貪欲に経験を積んでいきたいです!