まーしーのロンドン大医学部生活

University College London医学部6年生のロンドン生活、医学部での経験をお伝えします!(内容は個人の見解に基づくものであり、所属組織・その他団体と一切関係ありません)

どうしてUCLの医学部を選んだの? ①日本か海外か

「イギリスの医学部に在籍する日本人なんてあまり聞かないけれど、どうしてUCLの医学部に進学したの?」

これは、初対面の方にほぼ必ず聞かれる質問です。

 

私は小学生から「将来はお医者さんになりたい!」と思っていましたが、高2でインドに留学するまでずっと日本で過ごしていたので、当たり前ですが日本の医学部合格を目指して勉強していました。

実は、海外の医学部への出願を具体的に考え始めたのは、インドの高校卒業1年を切り、イギリスの医学部の出願締め切りまで3か月を切った時期でした。

 

「どうしてUCLの医学部を選んだのか」という質問に対して、

  • 日本の医学部受験を考えていたが海外の医学部に出願した理由
  • イギリスという国を選んだ理由
  • イギリスの医学部の中でUCLに出願した理由

に分けて、私の当時の考えを共有したいと思います。

今回は、日本の医学部を受験する場合に私が検討していた入試方法と、海外の医学部受験に踏み切った経緯を紹介します。

 

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↑UCLのメインビルディング

留学経験を生かせる日本の医学部入試方法

国際バカロレア入試

私は、インドのインターナショナルスクールで2年過ごした間に、国際的な高校卒業資格である国際バカロレア(IB)を取得しました。

この国際バカロレアを使った入試方式では、最終試験の得点やExtended Essay(EE:IBで課される卒論のようなもの)の内容を踏まえて選考が行われます。

筑波大学順天堂大学東北大学岡山大学等の医学部で採用されていて、書類審査、学力審査、面接等が課されます。

履修科目や各科目での最低成績が出願条件となっている場合が多いので、大学ごとに確認が必要です。

年々国際バカロレアの認知度が上がっているので、国際バカロレア入試を行う大学が増えているようです。(東京医科歯科大学横浜市立大学、愛知医科大学等)

帰国生入試

国際バカロレア入試とは別に、帰国子女を対象とした帰国生入試も受験するつもりでした。

多くの国立大学で募集がかかっていますが、

  • 海外滞在年数や滞在学年
  • 単身留学か親の都合か

といった出願条件が大学によって異なったので、私は2年間の単身留学で受験可能な医学部を探していました。

また、国際バカロレア入試、帰国生入試ともに募集は大半の場合「若干名」なので、一般受験に向けても勉強するつもりでした。

 

将来海外でキャリアを積むにあたって

’2023年問題’

ちょうど私が医学部を卒業する2023年に、アメリカでの医師免許試験であるUSMLEの制度が変更され、一定の基準を満たした医学部の卒業生のみに医師免許試験の受験資格が与えられるようになります。

日本には、私が出願した当時この基準を満たしている大学が1つもなかったので、将来日本の医学部を卒業した医師がアメリカで臨床医として働くことができない「2023年問題」が取り沙汰されていました。

日本の医師免許の互換性

元々、日本の医師免許のみを持って海外で臨床を行える事例はあまりありません。

例外的に、日本が二国間協定を結んでいるイギリス、フランス、シンガポールの3か国では、人数を制限しているものの日本の医師免許で働くことができます。

また、世界中から集めた医療チームを緊急支援を要する地域に派遣する国際団体「国境なき医師団」に参加する際は、日本の医師免許を使って派遣国で治療が行えます。

2023年問題や日本の医師免許の互換性の低さから、もし日本ではなく海外で免許を取得すれば、医師として将来他国で働く場合より多くの選択肢を考慮できるのではと考えました。

 

まずは海外に挑戦してみよう

オープンキャンパスの感触

医師として国際医療に貢献したいと考えていたので、インド留学中の夏休みに、特に国際交流に力を入れていると聞いた日本の医学部のオープンキャンパスに行きました。

海外医学部や医療機関へ大学の留学プログラムで留学した医学生の発表を聞いて、その日本の大学にさらに惹かれたのではなく、「海外の医学部に進学すれば良いのでは?」と感じてしまいました。

留学先での医学に関する学びについて聞きたかったのに、語学習得や他国の留学生との交流ばかりに焦点が当たっていたことが残念だった記憶があります。

恩師の一押し

そんな矢先、日本の高校時代にお世話になっていた英語の塾の先生と再会しました。「国際バカロレアの資格やインドでの経験を生かして、海外大に進む方が能力を伸ばせるのではないか」「国際化が進む中で、海外で医学を学んだ視点が将来日本で働くとしても役に立つはず」と力強く応援していただけました。

年度初めの時期が異なる関係で、海外の大学の合否が出た後に日本の医学部に出願し始めるスケジュールだったので、まずは海外の医学部に挑戦してみようと決めました。

 

UCLへの進学が決まった後、その塾の卒業生としてインタビューしていただいた記事がこちらです!