まーしーのロンドン大医学部生活

University College London医学部6年生のロンドン生活、医学部での経験をお伝えします!(内容は個人の見解に基づくものであり、所属組織・その他団体と一切関係ありません)

ご無沙汰しています…!近況報告

ケープタウンでの実習から早1年弱、完全に更新が滞ってしまっていたのですが、イギリスでの医学部の様子や医師の働き方の情報を探してこのブログに辿りつく方もいらっしゃると(人づてだったり直接だったり)聞くので、久しぶりに更新することにしました。

 

①医学部卒業

もう10か月も前のことになりますが、昨年7月にUniversity College London iBSc Medicineを卒業しました!

卒業に伴い、大学在籍中ずっと奨学金をいただいていた江副記念リクルート財団のホームページに卒業レポートを掲載していただきました。

写真も取り入れながらロンドンでの大学生活を振り返ったので、読んでいただけると嬉しいです。

www.recruit-foundation.org

このまとめのレポートを書くにあたり、財団への活動報告として毎月書いていたレポート(計約88000字...!)を読み返したところ、当時の様々な記憶が蘇って懐かしい気持ちになり、6年の月日を実感し、やっと卒業の実感が湧きました。

 

②初期研修

現在はイングランドのとある病院で初期研修医として働いています。

イギリスの初期研修は2年間で6つの科をそれぞれ4か月ずつ回るのですが、私は、

  • 1年目:消化器外科、内分泌代謝内科、老年内科(現在)
  • 2年目:小児科、救急外来、精神科

を回るプログラムにマッチしました。

イギリスの初期研修の仕組みや必要な試験等についてはまだブログでお話ししていなかったかと思うのでプロセスは割愛しますが、私は、

  • 6年もロンドンにいたので違う所に住んでみたいが、ロンドンに日帰りで帰ってこれる距離
  • (医学部在学中は小児科が一番楽しかったので)責任がより出てくる、かつ3年目以降のアプリケーションが始まる前、つまり初期研修2年目第1ブロックに小児科を回れるプログラム

という観点から病院・プログラムの順位付けを行いました。

この辺りには初期研修が始まるまで来たことがなかったのですが、天候が許せばお散歩が楽しめるのどかな地域で、病院にも温かい方が多く、NHSの中ではなかなか働きやすい方なのではないかと思います。(紙のカルテ、使いづらく作動が遅いアプリケーションなどハード面は課題が多いですが…笑)

コンサルタント(病棟で一番上の専門医・指導医の先生)が接しやすい方が多く、そのおかげで病棟チームの雰囲気も良いので、分からない・出来ないところは先輩の先生を頼りながら私なりに日々頑張っています。

大学卒業したての新米医師としては、やはり直属の先輩医師との関係性や、看護師さんや理学療法士作業療法士さんといった他職種とのチームワークが勤務中の心理的安全性に直結するので、打ち解けやすい方が多い今の環境は恵まれていますね!

 

③日本の医師免許

イギリスで初期研修を終え、その後も数年イギリスに残ることを現時点では検討していますが、その間に日本の医師免許も取得できればと思っています。

オンコールや夜勤のシフトで生活が不規則ななか勉強時間を確保することと、イギリスでのキャリア形成と両立して準備を進めることが喫緊の課題ですが、出来る限り頑張ります!

 

最後に:

嬉しいことに、最近イギリスでの臨床に興味のある医学生・医師の方々に対面でお会いする機会が立て続けにあり、びっくりしています。

課題が山積しているイギリスの医療ですが、良いことも悪いことも、今後は初期研修医の視点から(!)お伝えできればと思います。

ケープタウンでの選択実習 ②小児がん@小児病院

前回の記事では4週間の総合病院での小児科の経験についてまとめましたが、今回はその後2週間実習を行った小児腫瘍科での経験についてお話ししたいと思います。

 

ケープタウンの小児病院 Red Cross War Memorial Children's Hospital

↑病院の後ろにはテーブルマウンテンが見えます!

この病院はアフリカで最も歴史のある公立小児病院で、小児科の様々な専門治療を担っているため、南アフリカだけでなく近隣のアフリカ南部の国からも患者さんが集まっています。

多方面からの寄付金で高度医療を賄っているため、病院の正面玄関や各病棟への入り口には寄付者のリストがあり、手術室や集中治療室はそれぞれどの団体の寄付によって作られたかが明記されていました。

 

初めての小児腫瘍科での実習

ロンドンでの小児科ローテーション中に小児がんの講義は受けたものの、実際に小児がん専門病棟で実習する機会はこれが初めてでした。

  • 血液がん疑いの患者さんに対して行う一連の検査(骨髄生検、腰椎穿刺、リンパ節生検など)の補助
  • 親御さんに向けた小児がんの種類や今後の治療方針に関する説明への同席
  • 就学年齢の入院患者さん向けの学習サポートのお手伝い

小児がんの診断から治療まで触れることができ、また、小児がんの治療が終わった子どもが皆の前でベルを鳴らしお祝いする瞬間にも立ち会いました。

患者さんを亡くす場面は医療従事者にとっても辛いですが、子どもや家族と長期的な関係性を築き、治療だけでなく日々の生活にも手を差し伸べられるとてもやりがいのある科だと思いました。

伝統医療 VS 現代医療

中には固形腫瘍がかなり進行して外見がすっかり変わってしまってから病院に初めて連れてこられる患者さんもいました。

小児科の先生によると、南アフリカの中では医療にすぐにアクセスできないからというよりも、地域の呪術医による伝統医療を色々と試した後に病院を頼るから診断や治療が遅れることが頻繁にあるそうです。

伝統医療を頭ごなしに否定しても解決策は見えないので、どうしたら伝統医療と現代医療を共存させ、呪術医との連携体制を組んで早期発見・治療に結び付けられるか、患者さんや家族のニーズや価値観を踏まえた治療を提供できるか、が今の課題だとおっしゃっていました。

アフリカ内での小児科フェローシッププログラム

小児腫瘍科のチームには、ボツワナやマラウィの出身で、母国の小児科専門医資格を取ったあと、小児腫瘍の専門性を高めるためにRed Cross Hospitalにフェローとして来ている先生方が何人かいらっしゃいました。

お話を伺うと、「母国には小児腫瘍科医になるためのトレーニングプログラムはおろか小児がんを専門的に扱える病院もなかなかないため、Red Cross Hospitalで専門性を磨いて将来母国の小児腫瘍の治療体制や次世代の育成に取り組む」とおっしゃっていて、私がこういった先生方に交じってどうしたら将来国際小児保健に貢献できるのか、自問するきっかけになりました。

 

小児緩和ケアを行うNPO団体での一日

残念ながら積極的な治療を続けられない患者さんが小児病院でもいらっしゃいますが、その際身体的・精神的苦痛を取り除く緩和ケアを行う「小児緩和ケア医」のポストがまだRed Cross Hospitalにはありません。

公立病院における診療科の設置や職員数の増減については政府機関からの認可が必要で、2-3年ほど前から小児緩和ケア科の設置を訴えているものの、時間がかかっているそうです。

正式な認可が下りるまでの間にサービス提供体制を整えるべく、現在は、小児科専門医、アロマセラピスト、ソーシャルワーカーなどがPaedsPalというNPO団体を立ち上げて、Red Cross Hospitalの患者さんに対応しています。

私は日本の小児病院を見学した際、小児ホスピス・緩和ケア科が日本でも少しずつ周知され海外での事例を参考にケアの拡充が行われていることを知ったので、今回このNPO団体を一日見学することにしました。

カウンセリングでは、現在の養育環境や今後のマネジメントプランの方向性について、それぞれの親子にとってより良い選択を一緒に模索する、という小児科医の先生の姿勢が印象的でした。

特に、患者さんの苦痛の緩和だけでなく、親御さんの精神的負担や周囲からのサポート体制について時間をかけて聞き出していたので、「Paedspalスタッフと患者・家族が同じ方向を向いて一緒に歩む」というモットーを体感しました。

ちょうど私が伺った日にドイツの音楽療法の学生(元ハープ奏者だそうです!)もいて、小児緩和医療に興味を持った経緯やケープタウンでの経験について話し合えて楽しかったです!

 

まとめ

小児がん治療の知識や経験を得られただけでなく、患者さんとの交流を通して治療の大変さや現代医学の限界を目の当たりにしたり、専門医の先生方と交流を深めて色々とキャリアのアドバイスをいただいたりと、医学部卒業前にこれからの道を考え直す機会となりました。

Red Cross Hospitalではアフリカの中で先進的な小児がん医療を学べ、また前回お話ししたVictoria Hospital Wynbergではより地域に根差した小児医療を体感できたので、いつか南アフリカに戻って貢献できるように、イギリスでの初期研修中も常に国際保健への熱意は持っておきたいなと思います!

ケープタウンでの選択実習 ①小児科@総合病院

ここ数か月で南アフリカ→日本→イギリスと転々とし、先月の卒業式を経て今月頭からはイギリス南部の街で初期研修医として働き始めました!

医学部生だったころのエピソードをなるべく忘れないうちに書き記しておきたいと思います。

今回は、ケープタウンで行っていた6週間の実習のうち、総合病院の小児科で過ごした最初の4週間についてです。

 

実習を行ったVictoria Hospital Wynberg

ケープタウン大学の海外医学実習生として、ケープタウン中心部から車で20分ほど南下したところにあるVictoria Hospital Wynbergの小児科で病棟管理や外来診察を行いました。

↑病院の正面玄関。朝の雲がきれいです!

小児科には、専門医の先生が各週2人ずつ、小児科プログラムへの合格を目指して経験を積んでいる段階('Medical Officer'と呼ばれています)の先生が2人、卒後3年目の地域医療研修中の先生が1人、初期研修医の先生が各週3人ほど、そしてケープタウン大学の医学部6年生が3人いました。

どの先生もとても気さくに接してくださり教育熱心だったので、週を重ねるにつれて病棟回診でのプレゼン、検査、外来診察などを初期研修医の先生と同じくらい任せてもらえました。

4週間の実習を通して私が感じた南アフリカとイギリスの小児医療の違いについて、まとめたいと思います。

ちなみに、小児科の外来の待合室にはポップな絵が描いてあるのは万国共通のようです!

 

子どもの症状から考える鑑別疾患の違い

病棟回診中や毎週水曜のケースディスカッションでは、イギリスと南アフリカでの小児医療の違いについて小児科医の先生方と議論ができてとても学びが多かったです。

例えば、「子どもの発育不全」と聞いたときに、

  • WHOの成長率チャートに基づいたグラフに、月齢と体重・身長を書き込んでトレンドを見る
  • ちゃんと母乳を吸えているか確認する

という所は一緒なのですが、その原因の鑑別診断として、イギリスでは、

  • 欧米で有病率が高く消化吸収に影響する疾患(セリアック病、嚢胞性線維症など)
  • 染色体異常

などを考慮することが今までの実習で比較的多かったところ、南アフリカでは、

  • 家庭環境(特に親のアルコール・薬物中毒によるネグレクト)
  • HIV
  • 結核

がまずTOP3として挙がりました。

小児科医の先生の経験則によると、特に子どもがいきなり寄生虫を嘔吐・排泄し始めた場合は、結核の感染に気付いた寄生虫が体内から逃げ出しているサインかもしれないため、結核をまず疑うそうです。

 

入院している子どもの年齢層の違い

私がイギリスで実習していた小児科の入院患者を思い起こすと、幼稚園から小学生くらいの子どもが大半だったのですが、ケープタウンの病院では8割ほどが3歳以下でした。

(南半球のため)秋から冬への季節の変わり目ということもあり、胃腸炎や喘息で入院する子どもが多く、家の衛生環境や喘息向け吸入器の使用状況について親御さんとお話しすることが多かったです。

 

子どもの家庭環境の複雑さ

ロンドンでは6週間、ケープタウンでは4週間の小児科実習だったので、この短期間の経験だけで断定はできませんが、子どもの養育環境が複雑なケースに立ち会うことが多かったように思います。

  • 兄弟や実の両親と離れ離れで親戚の叔母(?)に育てられているはずがネグレクトになってしまっているケース
  • 10代前半で出産した少女が自身の産後うつや赤ちゃんの不調で何度も入退院を繰り返すケース

などを受けて、目の前の患者さんへの包括的・継続的な支援を地域のヘルスワーカーと協議するだけでなく、根本的な課題解決のために他病院、大学、行政との議論に繋げている仕組みを使って、小児科医の先生が「地域を診ている」姿がとてもやりがいがありそうだと思いました。

こういったセンシティブな話題を扱う場面が多いにもかかわらず、病棟にはベッドが仕切りなしに隣り合って並び、外来診察は1つの部屋の中で複数机を置いてわいわいと行われるという状況に文化の差を感じました。

 

まとめ

救急外来にやってきたり地域のクリニックから紹介されてきたりした患者さんを入院患者として受け入れる総合病院で、様々な小児の疾患や養育環境に向き合うことができ、ケープタウンの医師・医学生と良い関係を築けた4週間でした。

「地域のアクターを巻き込んで子どもとその家族を支えていく」「臨床医としての経験を活かしつつ公衆衛生の視点から地域を俯瞰する」といったところに私は興味があるのだな、と再確認する機会にもなりました。

↑一緒に小児科で実習していたケープタウン大学医学部6年生と仲良くなり、夕日の名所であるSignal Hillに行きました!

ケープタウン近辺での屋外アクティビティ

ケープタウンの海と山の自然を満喫するには屋外アクティビティが欠かせません。
ケープタウンでは一年の気候を一日で体験できる」と言われる程天候がころころ変わりますが、天候に恵まれて以下のようなアクティビティを楽しむことができました!

 

テーブルマウンテンでのハイキング

ケープタウンのシンボルでもあるテーブルマウンテンにはいくつか登山ルートがあります。

↑ロベン島からの帰りのフェリーでテーブルマウンテンを一望できました!

私はドイツ人の医学生グループに連れられて、Skeleton Gorgeという中々に難易度の高いコースを登りました。


道中では木製の梯子をいくつも連続で登ったり、滝の斜面の岩を登ったりと、普段ハイキングすらしていない私には大変でしたが、途中で引き返すこともできないので、ハイキングに慣れたドイツ人の友達に助けてもらいながら4時間半かけて登り切りました。今考えると怪我をしなくて本当に良かったなと思います。

途中何か所か視界が急に開ける地点があり、広がる街並みと海が一望出来て息をのむ絶景でした!

最後の頂上付近からの景色は圧巻でした。何とかその日のロープウェイ最終便に間に合い、帰りは10分足らずで下りてきました。

 

シュノーケリング

ケープタウンには美しいビーチがたくさんあるのですが、Kelpと呼ばれるコンブ科の大型海藻が大量発生しているエリアがあります。
このKelpの林の中に様々な生き物が生息しているので、Kelpをかき分けながらシュノーケリングを楽しみ、タコやウニ、そして小さなサメを見つけました。
私は挑戦しませんでしたが、ケープタウンはサーフィンの人気スポットでもあります。
インド洋側の方が大西洋側より水温が高いことが多いので、インド洋側のMuizenburgやSimon's Townなどがサーファーには有名だそうです。

 

↑これはBig Bayと呼ばれるビーチですが、朝早い時間には犬の散歩をしている人が多かったです。テーブルマウンテンを望みながら気持ちの良い海風を浴びて朝散歩できるなんて、とても素敵!

 

乗馬サファリ

ケープタウンの隣町であるステレンボッシュ郊外で、乗馬をしながら自然保護区を探検し野生動物を見るサファリを体験しました。


豊富な知識を持ったガイドの方がなるべく多くの動物を見られるよう自然保護区内を案内してくださり、キリンやシマウマに10メートルほどの距離まで近づいて写真を撮りました!!

手綱無しの乗馬は初めてだったので少し緊張していましたが、慣れてくると馬の歩くリズムが心地よく、動物や鳥に囲まれてとてもリラックスできる時間でした。

 

まとめ

私が訪れた4月下旬から6月上旬は、南半球では秋から冬にあたる時期で観光シーズンではないですが、日中は日差しがあり丁度良い暖かさだったので、目いっぱい楽しむことができました。

ケープタウン市内の美術館や博物館も回ったので、また記事にしたいと思います!

6週間ケープタウン(南アフリカ)に行ってきました!

4月下旬から6月頭まで、医学部最終学年に組み込まれている'Elective'という期間を使って南アフリカケープタウンに滞在していました!

イギリス以外の国で1か月半も過ごすのは久しぶりで、初めての南アフリカの魅力をどっぷり感じることができました。

 

Electiveとは?

日本語に直訳すると「選択実習」といった意味ですが、医学生の間では「海外で自由に実習を組める期間」という認識です。

大学によって期間や時期は異なるのですが、UCLでは卒業試験が終わってから8週間のElective期間が与えられ、その中で6週間以上の実習を各自組みます。

  1. Electiveの趣旨と必要条件の理解
  2. 実習先・診療科の暫定的なプラン
  3. 確定したプラン
  4. 旅程提出・リスクアセスメント渡航準備

と4段階にわたって1年以上かけて準備します。

日本の医学部では自大学が提携している海外の大学にお世話になる場合が多いと聞きましたが、イギリスではあまりそのようなケースは聞かず、行きたい国や地域・やりたい診療科を基本的に自分で決めて自分で大学(病院)に連絡を取ります。

 

もちろん海外に行かなくても良いので、私の学年にはイギリス国内でElectiveを行う学生もたくさんいます。

というのも、私たちが準備を始めた昨年初めはCOVID-19の終焉が見えておらず国外の医学生の受け入れの目途が立っていない病院が多かったうえ、特にUCL系列の病院だと(海外実習をアレンジする場合と比べて)費用も手間もかからないからです。

 

ケープタウンを選んだ理由

日本を含め色々な国の選択肢があった中で私が南アフリカケープタウンを選んだ理由をいくつか紹介したいと思います。

奴隷制度やアパルトヘイトの歴史を持つ都市

ケープ植民地としてオランダやイギリスによる支配や奴隷輸入が行われ、その後白人と非白人を隔離するアパルトヘイトが行われた歴史を持つ場所で、現在どのように様々なルーツを持つ人々が共存しているのか興味がありました。

Cape Town Free Walking Tourで回ったCape High Courtでは以前人種区別が行われていたので、今も'White only' 'Non-white only'と書かれたベンチが置いてあります。

ケープタウン大学

ケープタウン大学(University of Cape Town)は、世界ランキングがアフリカで1位の総合大学です。

私は国際保健に興味があるため将来Master of Public Health (MPH)といった公衆衛生関連の修士号を取得したいのですが、アフリカ全土から学生が集まるケープタウン大学でのMPHコースも非常に魅力的だと考えています。

しかし、ネット上で見つかる情報はかなり限られていたので、実際にキャンパスを訪問し学生や教授と交流しながら大学やコースについて理解を深められたらと思いました。

↑ちょうど年に1回のオープンキャンパスが開かれていた時のメインキャンパス。テーブルマウンテンの斜面にたくさんの建物が立ち並んでいるので、階段や坂が多くキャンパスを歩き回るだけで良い運動です。

雄大な自然

ケープタウンテーブルマウンテンという有名な山(山の稜線がまっすぐでテーブルの様)の麓に広がった都市で、南部のケープ半島は大西洋とインド洋両方に面しています。

実習以外の時間を有効活用して、ロンドンでは普段感じられない海と山両方の自然を満喫できそうだと思いました。

 

余談:日本でElectiveを行わなかった理由

実は、4年生ごろまで「日本で将来働きたいかを考えるためにも、就職前に家族と時間を過ごすためにも、日本でElectiveをしたい!」と考えていました。

しかし、私たちはパンデミック中に病院実習を始めたことから、臨床実習経験を卒業前に担保するために、Electiveは必ず「医学生が臨床手技・診療に積極的にかかわるもの」でなければいけなくなってしまいました。

パンデミック前は、研究、医療コンサル、公衆衛生系のElectiveも実施可能でした)

そこで、日本の病院での海外実習生の受け入れ態勢を確認したところ、見学生(observership)として受け入れてくれる病院はいくつもあったのですが、私の大学が求める実習の規定を満たすところが当時中々見つかりませんでした。

バーミンガムでの家庭医実習 ③街の様子

普段の病院での実習から地域のGPクリニックでの実習という変化もあったのですが、私にとってバーミンガムでの実習は初めてロンドンを離れて生活する経験でもありました。

イギリス人の友達からは「ロンドンはイギリスの他の街とは全く違う」とたびたび聞いていたのですが、今回イギリス第2の都市といわれているバーミンガムで感じたことをまとめたいと思います。

 

車がないとなんだかんだ不便

私は比較的バーミンガムの中心に近いAir BnBに滞在していたので、一か月の定期券を購入して、実習先のクリニックへ毎日バスで通っていました。

しかし、交通量が多い朝は特にバスの時刻表があてにならず、45分ほど遅れてやってくることも頻繁にありました。

ロンドン市内は交通網が発達していて地下鉄もバスも高頻度な上、移動ルートが複数あることがほとんどなのですが、バス1路線もしくはタクシーしか交通手段がないとなると待つしかありません。

また、大型スーパーが滞在先から少し離れた街灯が少ないエリアにしかなかったため、暗くなってから歩いていくのは避けた方が良いと滞在先のホストにアドバイスされたのですが、特に日が短い冬だと実習後歩いて買い物に行けないのでとても不便でした。

バーミンガムの滞在中に「今車を運転出来たらな」と何度も思い、「ロンドン以外に住むなら車があった方が断然楽」と周りも口を揃えて言っているので、先月運転教習を受けました。(その様子もまたシェアしたいと思います!)

 

民族同士があまり混ざっていない

これが一番驚きました。

実習先のクリニックがある地域は、パキスタンアフガニスタンからの移民の方が集まっている地域で独自のコミュニティが形成されていたので、やってくる患者さんの95%くらいが南アジアにルーツを持ちPashtoやUrduといった言語を話す方でした。

クリニックに勤務しているスタッフは私以外皆その地域からの移民もしくは二世でこれらの言語に堪能だったので、英語が話せない患者さんの問診では、医師の先生がその都度通訳してどういった問診を行っているのか説明してくださいました。

私が自分の診察室を持って診療した時は、英語が話せる患者さんもしくは英語が話せる家族と同伴でいつもいらっしゃる患者さんのみを回してもらいました。

電話で患者さんのフォローアップを担当した時は、必要に応じて事務の皆さんが隣で通訳してくれました。

 

↑クリニックの受付にもPashto, Bengali, Urdu, Romanianが並びます

 

クリニックへの行き帰りのバスでも途中から私以外すべて南アジア系の方のことが多く、1つの地下鉄の車両にアジア系・アフリカ系・ヨーロッパ系・ラテンアメリカ系など多くの民族が混在しているロンドンとは全く違う雰囲気でした。

 

アジアの食材を手に入れやすい

香港での情勢悪化を受けてイギリス政府は香港市民への特別ビザを発行しているのですが、バーミンガムにも多くの香港人が滞在しているようで、隣町のCoventryを含めて中華系・韓国系・日系食材を扱うスーパーやレストランが本当にたくさんありました。

実習最終日には中華街のベーカリーであんパンを買いましたが、とっても美味しかったです!

 

イギリス国内外への移動がしやすい

バーミンガムグレートブリテン島のちょうど真ん中あたりに位置しているため、ウェールズスコットランドを含め、多方面への電車や長距離バスが発着していました。

また、バーミンガムからロンドンへは電車で1時間半弱で移動できるのですが、バーミンガムの中心駅 (Birmingham New Street)から1駅分ロンドン方面に進むとバーミンガム国際空港駅で、イギリス国内線とヨーロッパ・中東方面への国際線が運航していました。

わざわざロンドンまで行かなくても、バーミンガム→ヨーロッパor中東→日本と乗り継いで辿りつけるので便利そうです!

バーミンガムでの家庭医実習 ②実習後半

前回に引き続き、今年1月のバーミンガムでのGP実習についてです。

1か月の実習の後半は、自分の診察室を持って(!)、

  1. 患者さんを診察し、
  2. その結果を指導医の先生にプレゼンし
  3. 一緒にマネジメント方針の議論を行い
  4. その方針を患者さんへ説明する

という一連の流れを任せてもらえました。

5年生の時にもGPで実習を行ったのですが、まだCOVID-19が流行っている時期だったためCOVID-19感染疑いの症状のケースに電話で対応することが多かったです。

今回は、より色々な主訴を持つ患者さんを毎日診察室で診て問診や身体診察を行ったので、昨年よりさらに充実した学びを得ることができました。

 

いくつか特に印象に残ったケースがあったので、ここで書ける範囲で紹介します。

 

がん疑いのReferral

GPとして特に重要な役割のうちの一つが、がん疑いのケースの専門医への紹介です。

イギリスでは、2 Week Wait Referralという制度があり、患者さんががんの症状・症候を示した場合、それぞれのがんに対応する検査に2週間以内に繋げる、という仕組みがあります。

年齢ごとにそれぞれのがんに対応する症状・症候が明記されており、例えば、

  • 40歳以上で腹痛と(意図していない)体重減少
  • 50歳以上で原因不明の直腸出血
  • 60歳以上で鉄欠乏性貧血、もしくは下痢・便秘などの胃腸の変化

を持つ患者さんを診た場合、大腸がんの検査である大腸内視鏡を受けられる医療機関へ2週間以内に紹介しなければいけません。

この条件にぴったり当てはまらなくてもGPが必要と考えた場合や、免疫便潜血検査(便の中にヘモグロビンが混じっているか調べる検査)を行って陽性となった場合も検査を行います。

患者さんの症状からがんを疑って早急に検査を調整する、というのは医学部の試験でもよく問われる問題なので、イギリスのがん患者さんをサポートするチャリティー団体がまとめているページをみて、何歳で・どの症状なら・どの検査を行うのか暗記しました。

私が診た患者さんのうちの一人が、3か月ほど食べ物が飲み込みづらく腹痛を訴えていたので、検査の詳細や必要性を説明したうえで、食道がん胃がんの検査である胃カメラの受診を調整しました。

ちなみに、ロックダウン中の受診控えや医療体制のひっ迫から、がんが進行してから初めてGPにやってくるケースや2週間以内に対応することができないケースが増え、問題視されています。

 

児童福祉の対応

その地域に住む患者さんと一番近い距離のGPだからこそ、子どもの養育状況や犯罪被害にも接することがあります。

性犯罪に会い夜中警察に保護された12歳の少女に会ったときは、頑なに無言を貫く少女に対して、GPの先生が犯人に関する聞き取りや検査の重要性に関する説明を根気強く行っていました。

また、その翌日、学校の先生、児童福祉課、立ち会った警察、GPの先生で緊急ミーティングが開かれ、これまでの少女の行動歴や家庭環境をまとめたうえで、どのように今後少女を守っていくべきかを議論していました。

私は小児科に興味があるので、病気の症状だけでなく、このように家庭・学校・地域団体と連携しながら子どもの権利を守っていける医師としての役割にとても魅力を感じました。

 

↑私がよく使っていた診察室です