まーしーのロンドン大医学部→イギリス医師生活

University College London医学部を卒業後、イギリスで初期研修医として働いています。イギリスでの暮らしや医療現場での経験をお伝えします!(内容は個人の見解に基づくものであり、所属組織・その他団体と一切関係ありません)

イギリス医学部卒が日本の医師免許を取得するまで ③医師国家試験

1つ前の記事で扱った日本語診療能力調査の結果が届いた時点で、2月の医師国家試験が約3か月後に迫っていました。

今回は、海外医学部卒の医師国家試験合格状況、そして私自身の対策方法をまとめたいと思います。

時差や仕事の関係で中々グループセッションにオンライン参加できないこともあり、塾や予備校にはお世話にならず自力で対策しました。

 

↑最近イギリスでは20℃後半で日差しが強くとっても暑いです…!現在働いている精神科の病棟でアイスが配られ、私たちもおこぼれにあずかりました。

 

海外医学部卒の医師国家試験合格率

医師国家試験の基本的な合格基準ですが、

  1. 必修問題で8割以上の得点を取り、
  2. 一般臨床問題で受験者中上位90%程に入り、
  3. 禁忌選択肢(実際の臨床でかなり危ないとされる選択肢)を2-3個以下に抑える、

と3つの条件全てを満たす必要があります。

公開されているデータによると、2025年2月実施第119回医師国家試験の合格率は全体で92.4%となっています。

しかし、海外医学部卒が日本語診療能力調査を経て受験資格を得る「認定」の区分に限ると出願が291人、受験者が286人、合格者が149人と、合格率は52.1%にとどまっています。

厚労省の書類審査により(日本語診療能力調査ではなく)日本での予備試験合格と実地修練を課せられた「予備試験」区分では、受験者は33人と少ないものの、合格率は69.7%となっています。

個人的な見解ですが、これは(相当な勉強量が必要で合格が難しいとされている)予備試験に合格しその上で日本で臨床実習を経験した方々は、日本語診療能力調査経由のグループに比べて長期間に亘る問題演習の積み重ねと日本の医療現場の肌感覚があるからかと思います。

 

私の対策方針

私は「認定」区分で受験したので、一人で勉強する環境でこの低い合格率をくぐり抜けるために以下を意識しました。

 

日本の医学部6年生の母集団に照準を合わせる

日本の新卒(6年生)だけを見れば合格率95%の試験です。

日本の難関な医学部入試を突破した学生が相当量勉強する試験なので、決して簡単とは言えませんが、日本の医学生が使っているビデオ講座や模試を友人から教えてもらい、「日本の受験者の母集団において正答率の高い問題を落とさない」よう意識しました。

具体的には、以下の3つを利用しました。

  • Qassistの動画授業:特に(年末~年始に公開される)直前総まとめ講座は各科目が簡潔にまとまっているうえ、最新の出題基準に基づいた傾向などにも触れていたので効率的でした。
  • クエスチョンバンク(過去問):日本で医師として働いている複数の友人から「過去問3-5年分をやり込むのが良い」と聞いていたので、過去問5年分はそれぞれ2回ずつ時間を計りながら演習し、外れ選択肢を含め説明できるまで復習しました。また、「1周目問題」と呼ばれる各科目の主要な問題群は一通りすべて理解して解けるようにしました。
  • 冬のMEC模試:過去問の類似問題が多い印象でしたが、受験者全体における自分の立ち位置を把握できたのは良かったです。他の模試の受験も検討しましたが、限られた時間の中で上記2つを優先したかったのでやめました。

 

イギリスで勉強していないor知識が薄れている科目をまず優先

まとまった対策期間がある日本の医学部生や、日本に帰国して予備校で勉強していた他の海外医学部卒に比べて、フルタイムでイギリスで働いている私には圧倒的に時間が足りませんでした。

11月までは小児科、12月以降は救急とどちらも時間外勤務や不規則なシフトが多い科で働いていた時期で、またイギリスの後期研修の出願・面接・試験も重なっていたため、時間管理が大変でした。

そのため、最初からビデオ講座を順番に受講するより、まずは、

  • 日本の医療に関連する法律、疫学、医療システムについて学ぶ「公衆衛生」の科目
  • 医学部5年次で勉強したあとあまり触れてこなかった産婦人科や眼科などの診療科

のビデオを優先的に視聴し問題演習をおこないました。

逆に、救急、精神科、呼吸器内科などは、ある程度これまでの勉強で対応できたので、テキストを読んだり問題を解いたりして日本語の用語・表現を学びました。

 

受験当日~結果発表

試験会場では各大学の学生・卒業生が受験生を鼓舞しに来ていたので少しアウェイにも感じましたが、救急の長時間シフトで鍛えられていたおかげか、集中力を切らさず2日間の日程を終えることができました。

日本の中学・高校・大学受験を経験してこなかった私にとっては、このような大規模な試験の受験自体が新鮮な体験でした。

受験後に回答を入力すると予想点数を算出してくれるサービスがいくつもあり、おおよその得点・合否が予想できたので精神的に助かりました。

約1か月後の結果発表の時間はイギリスでの夜勤中で、休憩時間にスマホを確認すると家族からお祝いのメッセージが届いていて嬉しかったです!

結局映像授業もクエスチョンバンクも全てやりきることはできませんでしたが、本番の試験では平均点くらい得点できていました。

 

最後に

医師国家試験については既にネット上に沢山情報がありますが、一体験談として、少し特殊な環境から受験対策を行っている方の参考になると嬉しいです!

次回は、国家試験に向けて勉強していて気付いた日英の医学部での学習内容の違いを紹介したいと思います。