まーしーのロンドン大医学部→イギリス医師生活

University College London医学部を卒業後、イギリスで初期研修医として働いています。イギリスでの暮らしや医療現場での経験をお伝えします!(内容は個人の見解に基づくものであり、所属組織・その他団体と一切関係ありません)

イギリスの後期研修・Academic Clinical Fellowship

初期研修があと2か月弱で終わり、8月からは後期研修に進むことが決まりました。

私は、General Practice(総合診療)の後期研修を開始しますが、その中でもAcademic Clinical Fellowship(ACF)のポストをいただくことができました。

今回は、イギリスのGP後期研修とACF、それぞれの特徴と出願プロセスについて説明したいと思います。

 

↑ACFの一環である研究・講義で度々訪れることになるであろう大学のキャンパス

 

イギリスにおける後期研修のシステム

イギリスでの初期研修2年、もしくはそれと同等以上の経験があるとみなされた場合に、後期研修 (specialty/core training programme)に出願することができます。

各診療科ごとに全国規模で出願→書類審査→試験and/or面接、といった形で選考が進み、最終成績が上位の人から希望する地域の病院・プログラムを選ぶことが出来ます。

後期研修の長さは科によって異なり、

等となっており、また内科系・外科系の多くの場合はCore Trainingと言われる一般内科・外科研修(2-3年)、その後より細かい専門研修(5-6年)を終えてやっと専門医資格を取得できます。

イギリスへの移住を目指す海外医学部卒医師が増えたことや、イギリス国内で医学部が増設されたことからどの診療科も出願者数が増え、年々後期研修の競争倍率が高くなっていることが大きな問題となっています。2019年には1.4倍だった内科のCore trainingの倍率が、今年は約5倍とも言われているほどです。

medical.hee.nhs.uk

 

GP Trainingへの出願方法

他の科に比べて非常に簡潔で、

  1. Orielという出願ポータルから個人情報、職歴、学位など必要事項を入力し、
  2. Multi Specialty Recruitment Assessment (MSRA)を受験します。

このMSRAは様々な科の選考で用いられている統一試験で、臨床知識を問う問題と、状況判断能力やコミュニケーション能力を問うSituational Judgement Testが半分ずつという構成になっています。

GP後期研修では、この点数が高い応募者から順に好きな地域・病院のプログラムを選べます。

私もこの試験を今年2月末に受験したのですが、GP後期研修応募者の中で上位3%程の成績を修めることができ、少し自信に繋がりました。

 

Academic Clinical Fellowship(ACF)とは

ACFは、上記の後期研修と並行して大学での研究を行うプログラムです。(2025年の募集要項はこちら)

研究時間が研修に組み込まれるほか、大学教授陣からのメンターシップ、NIHRもしくは大学からの補助金、必要に応じて修士レベルのリサーチコースの受講などの恩恵を受けることが出来ます。

具体的な研究テーマ・プロジェクトは、基本的に各フェローの興味と各大学の方向性によりますが、NHS全体として強化したいトピック(慢性疾患、デジタル、精神疾患予防医学と公衆衛生など)に紐づいているポストもあります。

後期研修のどのタイミングでもACFに応募できるのですが、私のように後期研修を開始するタイミングで応募する場合、通常の後期研修とACF両方から合格をもらって初めてACFのポストが確定します。

 

ACFへの出願方法

大まかなタイムラインとしては、

  • 9月末:次年度の募集要項の公表
  • 10月末:出願書類の提出期限
  • 11月下旬~12月:面接招待の連絡
  • 12月~1月上旬:オンライン面接
  • 1月下旬:最終選考結果の通達

といったスケジュールでした。

最大3つのプログラムしか出願できないため、いくつかの大学のプログラム責任者とカジュアルなミーティングを行ってプログラムの詳細を比較しました。

出願書類には、

  • ポスター・口頭発表(地域、全国、国際レベルそれぞれ)
  • Peer review journalに掲載された論文
  • 医学内外の教育経験
  • 医療監査の経験
  • 医学分野以外での業績
  • リーダーシップ、チームワーク
  • この診療科を選んだ理由と、関連するこれまでの活動
  • このACFを選んだ理由と、今後のキャリアビジョン

それぞれについてまとめる必要があり、合計4000ワード以上になりました。

ちょうど小児科の夜勤や土日勤務が多かった時期で、隙間時間をほぼ全て出願準備に充てていたのも良い思い出です。

この甲斐あってか出願した全てのプログラムから面接に呼んでいただけました。面接の段階でどのプログラムも倍率が4-5倍程度でした。

どの面接も、出願書類に記載した内容に近い質問が多かったです。また、最初に論文の要約とグラフが与えられ、その場で分析するタスクがありました。

限られた時間で論理だてて話せるよう、各設問でアピールしたいポイントを簡潔に話せるようまとめたり、現ACFに面接練習をお願いしたりしました。

 

まとめ

普段の初期研修に加えて、日本の国家試験とイギリスの後期研修の出願の両立は大変でしたが、書類準備・面接練習・試験対策などに充てた努力が報われ、とても運が良かったと思います。

残りの初期研修、そして8月からのGP ACFも頑張ります!