卒業が無事決定しました🌸
お久しぶりです。
先月、医学部の卒業試験(実技・筆記)が終わり、2月に受けていた薬剤処方の試験も含めすべて合格できたとの結果を受け取ったので、この夏に卒業できることが決まりました!
↑卒業試験前に行われた臨床手技(採血、尿道カテーテル、縫合など)の練習セッション
卒業試験の位置づけ
イギリスでは現時点では「医学部卒業=医師免許付与」となっており、日本の医師国家試験のようなものはありません。
General Medical Councilという医師会のようなところが、イギリス全土の医学部の認可を担っており、各医学部の試験のレベルを担保しています。
しかし、2024/25年度卒業生(私の2つ下の代)からは、筆記と実技からなるUKMLA (UK medical licensing assessment)という全国統一型の試験が導入されることが決まっており、この試験に合格することが医師免許取得の条件となる予定です。
他国の医学部を卒業してからイギリスで初期研修に応募する人が増えていることを受け、どこの医学部で教育を受けたとしても、イギリスで初期研修を開始する時点でのレベルを一定以上に保つために導入されるといわれています。
卒業試験の内容
各大学によって卒業試験の実施時期や形態は異なるのですが、基本的に実技試験と筆記試験の両方があります。
ここでは私が勉強しているUCLの例を紹介します。
筆記試験
筆記試験は2日間に分けて行われ、Single Best Answerという5択の選択問題を1日につき150問、合計300問解きます。
パンデミック前はマークシートに鉛筆で記入していましたが、現在は大学支給のiPadで解答していく形式なので、学生全員が大きなホールに座って、制限時間の3時間iPadと格闘します。
患者さんのバックグラウンドに関する情報が与えられてそれぞれの診療科の知識を問う質問が多いですが、医学統計学、医療倫理学、病理学、検査結果の解釈、等も出題されます。
Single Best Answerの難しいところは、5つの選択肢全てが必要な検査だったり治療だったりする中で、「最も適切な」選択肢を選ばなければいけない点です。
特に私の大学は、2 step questionといって、
- 問題文からまず鑑別疾患を考え
- その鑑別疾患の中から最も可能性の高いものに最適な検査・治療を考える
というような一筋縄ではいかない問題や、難しい病理学(顕微鏡や生検の写真を見て答える)の問題が多いと言われています。
実技試験
6年生の実技試験は、12個の状況や課題が与えられ、それぞれ10分間でこなしていきます。
医師として置かれた状況とその状況でこなすタスクに関する文を読む準備時間の1分と、次のステーションへの移動の1分を含め、2時間半弱の試験です。
- 主訴を聞き出して詳しく問診 →検査・治療方針を患者に説明
- 身体診察 →所見、鑑別疾患、必要な検査について上級医にプレゼン
- 医療倫理のトピックについて患者本人または家族に説明
- 検査結果の説明 →生活習慣のカウンセリング
など、実践的な内容だと思います。
12個のステーションのうち4つは、色々なタスクが混ざり合っていました。
例えば、10分間に、簡単な問診、身体診察、治療方針の説明、心電図の解釈と薬の調整、などを行わなければならず、かなり急いで制限時間内に終えたものの、後で「あれも含めるべきだった」と反省もしました。
卒業試験後について
現在はロンドンから少し北に移動したところの病院で、Prep for Practiceという実習を行っています。
これは、主に初期研修の先生に付いて、実際の日々の業務に慣れるための実習です。
例えば、回診時の診察内容や退院記録を書いたり、監督無しで採血や身体診察を行ったり、当直の際のポケベルの応対の練習をしたりしています。
そして、来週末からは自由実習の期間で、私は南アフリカのケープタウンの病院に行ってきます!
治安を考慮して実習後夜は基本外出しない予定なので、今年の年明けの話から遡ってブログにまとめていこうと思います。