まーしーのロンドン大医学部生活

University College London医学部6年生のロンドン生活、医学部での経験をお伝えします!(内容は個人の見解に基づくものであり、所属組織・その他団体と一切関係ありません)

どうしてUCLの医学部を選んだの? ⑤大学選びで見逃していたこと

今まで、医学部のカリキュラムや学費・学習環境という観点から、私が出願大学を選んだ際に重視していたポイントを紹介してきましたが、今回は、私が今振り返って「比較すればよかったなあ」と感じるポイントについて書きたいと思います。

 

大学の所在地

所在地については生活費や物価にばかり焦点を当てていたのですが、大学がある都市についてより詳しく調べれば良かったと感じています。

 

交通

まず、大学生活を送るうえで専攻に関係なく、交通・移動手段は大切です。

ロンドンはバス・地下鉄・電車が張り巡らされているので、車がなくても全く問題なく移動できます。

特にロンドン中心部に行く場合は、車で行くと駐車場所が難しいうえに道路使用料金がかかるので、公共交通機関の方が移動が楽です。

地方都市の医学部に通っている友人によると、少し遠い病院に実習に行く際に車がないと不便なので、運転免許を取得し車を手配する学生が多いようです。

 

 実習で診る疾患の幅広さ

ロンドンは、イギリスの中でも特に様々な人種が共存する都市です。

私も時々「イギリス生まれロンドン育ちの日本人なの?」と聞かれることがありますし、電車の1車両をとってもヨーロッパ系、アフリカ系、東アジア系、中東系、中央アジア系、ラテン系等様々な人種が混在しています。

入学する前は考えが及びませんでしたが、住んでいる人種が多様ということは、病院で診る患者さんの人種やバックグラウンド、またそれぞれが罹りやすい病気も様々だということです。

人種によって、Differential diagnosis(鑑別診断:可能性のある病気を挙げること)が変わったり、(例えば高血圧の治療で)治療薬の処方の順番が変わったりします。

また、英語がうまく話せない患者さんのために通訳を手配したり、(英語が堪能な)患者さんの家族を介して問診をしたりすることもあります。

患者さんと一対一でコミュニケーションが取れないときは、ニュアンスが途中で変わってしまっていないか、(家族が通訳する場合は)家族の意思が混じってしまっていないか注意しなければいけません。

言語・人種・職業等の差が医療の質の差につながってしまってはいけないので、低学年のうちから、医療で起こりやすいmicroaggression(自覚なき差別)を防ぐ方法を考える講義があります。

自分と異なる点が多い患者さんと話す機会がたくさんあるので、色々な物事の考え方に触れつつ最善のケアを考えたり、信頼関係を構築できるようなコミュニケーションを目指したりと、将来国際医療にかかわるうえで生きるであろう経験を積めていると感じます。

 

課外活動

医学生カンファレンスや著名な先生のご講演に土日や平日の夕方を利用して参加しようと思ったとき、ロンドンには複数医学部が集まっているのでイベントの頻度が高く内容も幅広いです。

また、複数の大学の学生団体が共同開催するイベントは、特に質が高いと感じます。

課外活動を通してほかの大学・学年の学生とたくさん交流できることも、都市部の大学に通うメリットだと思います。

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天候 

イギリスは雨が多いイメージをお持ちの方も多いと思います。

実際ロンドンでは、一日中雨が降っていることは少ないものの、ずっとどんよりしている日が特に秋~冬に多いです。

冬は日照時間も短いので、9時~17時に講義が詰まっていると日光を浴びることなく一日が過ぎてしまうことがあり、特に渡英したての冬は日光に飢えていました…!

イギリスの中でも特にウェールズでは雨の日が多いと聞くので、慣れるまではなかなか辛そうです。

 

大学の試験

きちんとした成績を修めて進級していくためには、どんな試験をパスしないといけないのか熟知する必要があります。

 

定期試験の頻度・形態

私は入学するまで知らなかったのですが、UCLの医学部では試験が年に1度しかありません。

つまり、1年間かけて勉強した範囲すべてが学年末試験の範囲となります。試験形態は、実技試験と選択式の筆記試験です。

試験の頻度や形態は大学によって様々で、例えば同じロンドン大学の傘下のインペリアル・カレッジ・ロンドンの医学部では、単元ごとに記述を含む筆記試験があり、別日に実技試験があるそうです。

範囲は広いけれど試験回数が少ない方が良いのか、常に試験に追われる状態だけれど各試験の負担が少ない方が良いのかは、完全に個人によると思います。

正直なところ、私は小さい試験が何度もある方が良かったです。笑

 

医学部卒業試験の時期

イギリスでは現在国家試験はなく、医学部卒業と同時に医師免許が付与されます。

この大学の卒業試験も大学によって実施時期が異なり、UCLのように6年生の春に行う大学もあれば、卒業の1年以上前に実施し最終学年をひたすら研修に充てる大学もあります。

 

 最後に

UCLに入学してロンドンで暮らしてみて初めて大変さに気づいたこともありましたが(日照時間の短さと学年末試験の範囲の広さ。笑)、徐々に慣れながら勉強したいことに打ち込めているので、とても充実している日々です!