まーしーのロンドン大医学部生活

University College London医学部4年生のロンドン生活、医学部での経験をお伝えします!(内容は個人の見解に基づくものであり、所属組織・その他団体と一切関係ありません)

救急のシミュレーション&血液ガスの採血

私は今学期のモジュールで、呼吸器内科、循環器内科、内分泌代謝内科、救急外来での実習を行っています。

先日その一環として、実践的なスキルを身に着けるために、救急のシミュレーションと血液ガス分析用の採血の練習を行いました。

 

救急のシミュレーション

私の実習先の病院には、Simulation centreといって救急外来の様子を再現できる研修施設があります。

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患者さんのマネキン、先生が操作できるバイタルのモニター、実際に現場でも使われている医療器具、除細動器(心室細動による心停止の際に電気ショックを与える機械)などが用意されています。

また、別室にいる先生の声がアナウンスとして聞こえる仕組みになっています。

最初患者さんの容体が安定している時は、患者さんに扮した先生から主訴や症状の詳細を聞き出し、そして容体が急変して私たちだけでは対処できなくなった場合には、専門医に扮した先生に電話越しで状況を伝え指示を仰ぎます。

 

ABCDE assessment

これは、初めて患者さんを診る場合に必ず行う体系的な診察のことです。

救急外来というストレスフルな状況でも、緊急性の高い症状を見落とすことがないように、以下の順番に確認していきます。

  • A: airway =気道閉塞
  • B: breathing = 呼吸器系
  • C: cardiac/circulation = 循環器系
  • D: disability = 意識障害
  • E: exposure = 全身の変化(出血、発疹、浮腫など)

それぞれのセクションにおいて、

  1. 目で見て、手で感じて(触診)、耳で聞いて(聴診)異常を見つけ、
  2. 心拍数や酸素飽和度といったバイタルを測り、
  3. その場で行える治療(酸素吸入、点滴など)を行い、
  4. 心電図、血液検査、X線など必要な検査の指示を出す

ことが求められています。

 

チームワーク、コミュニケーションの大切さ

このシミュレーション施設で3つほどケースを体験して感じたことは、スタッフ間でのチームワークとコミュニケーションが患者さんの予後に大きく影響するということです。

例えば、救急の現場では複数の医師や看護師が協力して治療にあたることが多いので、上記のABCDE assessmentを分担して行ったり、周りのスタッフに治療や検査の指示を出したりします。

このような状況では、だれが何を担当するのか名前を呼びあって確認しないと、せっかく出した指示がうまく伝わりません。

その結果、迅速に治療が行えなかったり、ベッドサイドでの検査が遅れて患者さんの状態を正確に確認できなかったりします。

また、専門医の先生に指示を仰ぐ場合、患者さんにまつわる必要な状況を簡潔に伝え、分からない点を明確に質問する必要があります。

  • S: situation(患者さんの年齢、性別、主訴、病院内での場所)
  • B: background(詳しい状況、病歴)
  • A: assessment(バイタルの状況、簡単な診察の結果、既に行った処置)
  • R: recommendation(これからの対応についての私の考え、質問)

という順番で伝えるようにするのですが、焦っていると頭の中で情報を取捨選択して整理することが難しいので、場数を踏んで慣れていきたいと思います。

 

血液ガスの採血の練習

ABG(Arterial blood gas:血液ガス)分析は、酸素や二酸化炭素といった血液中の気体の濃度を測り、血液のpHが酸性やアルカリ性に傾いていないか確認する検査です。

静脈からの採血はすでに練習したのですが、血液ガス分析では動脈から採血しなければいけないので、手順や使用する器具が違います。

実習先の病院にある臨床手技研究施設で、マネキンを使って練習しました。

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 ↑左下の青いポンプをリズムよく握ることで、脈拍を再現できます!血液はもちろん色水ですが、使用する器具はすべて本物です。

同級生とペアになって、

  1. 処置に関する説明を行い患者さんから同意を得て、
  2. 局所麻酔を行って、
  3. 採血をして、
  4. 使用した針を安全に処分し片づけをする

といった一連の流れを練習をします。

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 ↑Radial pulse(手首の脈拍)を確認して、今まさに針を刺そうとしているところです!

 

最後に

診察にしても臨床手技にしてもまだまだ慣れないことが多いのですが、足りないところを自覚して同じ間違いを繰り返さないようにしたり、新しい手技を積極的に練習したりして、ちょっとずつ成長出来たらなと思います!