まーしーのロンドン大医学部生活

University College London医学部6年生のロンドン生活、医学部での経験をお伝えします!(内容は個人の見解に基づくものであり、所属組織・その他団体と一切関係ありません)

医学生としてコロナ対応のお手伝い ④緊急治療室での1日

学会発表の準備やインターン、実習に追われていて少し更新が開いてしまいました…。

 

ロンドンではかなり新型コロナの患者数が減ってきています!!

それでも私の実習先の病院ではまだ通常のキャパシティ以上の患者数をICUで受け入れているので、医学生のコロナ対応のお手伝いは続いています。

足の怪我がほぼ治ったので、立ち仕事が長い緊急治療室(ICU)でのコロナ対応に先月から何度か参加しています。

朝から夜まで丸1日のシフトを行った際の体験を共有したいと思います。

 

1日のスケジュール

朝7時半から夜8時までの12時間半のシフトで、その間に交代で30分の休憩が3回ありました。

朝まだ薄暗い中病院に向かい、勤務が終わったら真っ暗だったので、(ロンドンでは珍しく)ずっと晴れていた日だったらしいのですが笑、日の光を浴びることなく1日が終わりました。

緊急治療室スタッフ専用の休憩室では、飲み物・お菓子・軽食が用意されていたので、私もサンドイッチやお菓子をいただきながら乗り切りました。

f:id:ma-c-s:20210306065259j:plain

 

医学生はどんな仕事を担当するの?

担当する仕事内容は患者さんの容態や周りのスタッフの数に左右されるのですが、今まで私が主に担当していたタスクを紹介します。

バイタルの記録

患者さんの脈拍、血圧、体温、尿量、呼吸器の設定等のたくさんの項目をを1時間ごとに記録しなければいけません。

また、数時間おきに追加の検査(例:血液ガス)も行う必要があります。

そのため、複数人の患者さんを1人で診ていると、全員の患者さんの数値を記録し終わるとほぼ1時間経過していることもあります。

毎時の数値を重視するというより、折れ線グラフで記録して数値の推移を掴みます。

体位変換

ずっと同じ体勢でベッドで横になっていると床擦れが起こってしまうので、定期的にベッド上での位置を動かします。

ICUの患者さんに繋がれているたくさんのチューブやモニターのケーブルが取れないよう、慎重に行います。

重症化する患者さんはかなり体重があることが多いので、複数スタッフで"Ready, steady, go"と合図に合わせて動かします。

体を持ち上げたタイミングでベッドシーツの交換や簡単な掃除もします。

薬の準備

医学生は薬を処方することはできませんが、指示に従って薬を倉庫に取りに行ったり、薬を液体に溶かし用意したりすることはできます。

また、ベッドの横にあるトロリーに必要な医療器具が揃っているか頻繁に確認して適宜補充して、看護師さんが薬を投与しやすいように補助しています。

口腔ケア、スキンケア

濡らした綿で口の中を綺麗にしたり、顔をふき取り剤で拭いたりする程度なのですが、新たな感染を防ぐためにも、顔周りは常に清潔に保ちます。

 

どのタスクでも、患者さんの尊厳を守る

緊急治療室には意識がない患者さんも多いのですが、意識の有無にかかわらず、看護師さんが、いつも患者さんの名前を呼んで処置を説明し、優しい言葉をかけていたのがとても印象的でした。

また、たとえば衣服を交換したり排泄のケアをしたりする際は、患者さん自身や周りの患者さんが全員意識がなかったとしても、必ずベッド周りのカーテンを閉め、露出を最小限に抑えていました。

”患者さん一人一人を尊重し尊厳を守りなさい”と、特に医学コミュニケーションや緩和医療の授業で何度も言われてきましたが、実際に行動に移す機会は今まであまりありませんでした。

緊急治療のような厳しい環境でも患者さんへの配慮が自然とできるように、常日頃から意識していきたいです。

 

次回は、コロナ対応に参加した感想を詳しく書こうと思っています。