まーしーのロンドン大医学部生活

University College London医学部6年生のロンドン生活、医学部での経験をお伝えします!(内容は個人の見解に基づくものであり、所属組織・その他団体と一切関係ありません)

世界屈指の小児病院Great Ormond Street Hospitalでの実習

6週間の小児科実習も終わりに近づいてきているので、少しずつ小児科のまとめをしたいと思います。

まず、年明け最初の1週間は、ロンドンにあるGreat Ormond Street Hospital(通称:GOSH)で実習をしました。

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イギリス全土の病院から複雑な小児科のケースの紹介を受けるだけでなく、世界中から稀な小児疾患を持った患者さんも集まります。

この病院だけで、63もの小児科のサブスペシャリティを有しているそうです。

私が在籍するUCLという大学のネットワークに属しているので、5年生全員が1週間この専門病院で実習する機会があり、希望すれば6年生でも1か月ほど興味のある小児分野で実習することができます。

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↑コロナの影響で現在は閉鎖していましたが、東京ディズニーシーのマーメイドラグーンを彷彿とさせる遊び場がありました…!

 

チャリティー団体が非常に大規模なことでも有名で、ファンドレイジングのイベントが頻繁に開催されています。

また、ピーターパンの作者の希望で、ピーターパンの舞台公演・小説・映画などの著作権使用料の一部がGOSH charityに1929年から寄付されています。

加えて、研究活動や治験も盛んで、患者さんだけでなく世界中から小児科フェローが集まっている印象を受けました。

 

実習内容

私は小児外科と小児神経内科で実習をしましたが、小児循環器内科や小児泌尿器科に行った友達もいました。

小児外科では2件の手術を見学しました。

1人目は、遺伝子の病気があり生後8か月でありながら3キロ弱しか体重がなく、気管挿管に悪戦苦闘している間に容体が急変してしまったので手術は延期となりました。

2人目は、早産だった生後6週間の女の子で、頭からお尻までがB5の縦の長さ位しかありませんでした。

手術台に横たわった本当に小さい患者さんを、7人ほどの大人が囲んで何時間も手術している光景は、今まで見学してきた手術と全く雰囲気が違いました。

小児神経内科では、何十万人に1人というような希少疾患を持った患者さんが多かったので、フェローの先生も聞いたことがない病名だった場合は一緒にその疾患について勉強しました。

脳内で拡張した細かい血管がもやのように見えることから「もやもや病」と呼ばれる日本で見つかった難病があるのですが、英語でも"moyamoya disease"と呼ばれていて驚きました!

 

小児救急のシミュレーション

GOSH内のトレーニング施設で、髄膜炎てんかん発作の対応を練習しました。

とてもリアルな赤ちゃんの人形で、呼吸数に合わせて胸が上下したり、目や四肢が動いたりしたので、これまでのどのシミュレーションよりも緊張しました…!

 

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↑GOSHからすぐの距離にある郵便ポストがかわいい!

 

まとめ

このような最先端の専門治療を提供する小児病院で実習できる機会はとても貴重なので、UCLの医学部で良かったと感じました。

先天的であれ後天的であれ非常に重い症状を持つ患者さんを、親御さんが泊まり込みで24時間傍でずっと看病している姿を見て、家族向けのサポートサービスもなくてはならないと思いました。