まーしーのロンドン大医学部生活

University College London医学部4年生のロンドン生活、医学部での経験をお伝えします!(内容は個人の見解に基づくものであり、所属組織・その他団体と一切関係ありません)

医学部在籍中の学士号iBSc ②授業、研究プロジェクト

前回に引き続き、イギリス医学部で1年間医学から離れて興味のある医療トピックについての理学士号を取得するiBScについてです!

今回は、私が去年免疫学・感染症学・細胞病理学のiBScを取得した際の授業や研究プロジェクトについて詳しく書きたいと思います。

 

医学部とは全く異なる授業

他のUCLの学部生と一緒に授業を受けたり、研究プロジェクトをレポートの形にまとめたりするので、医学部とは勉強スタイルが異なり、新しい人との交流もあったので新鮮でした。

1年間で計5つの授業を履修したのですが、特に面白かったのはViruses & Diseases(ウイルスと病気)とAutoimmunity & Transplantation (自己免疫疾患と移植)です。

Viruses & Diseases

何より教授が本当に知的好奇心に満ち溢れていて「ウイルス学についてもっと知りたい!」と思わせてくれる方だったので、履修しました。

授業中のディスカッションでも、他の生徒のアイデアと自分の意見が融合していく過程がとても楽しかったです。

この授業を履修している間にパンデミックが起こるとは思っていなかったのですが…笑

細胞レベルで感染について学んでいたので、勉強内容を現実世界の問題にタイムリーに落とし込んで理解を深められました。

Autoimmunity & Transplantation 

私は、腎移植手術を夏休みに見学するくらい移植手術に興味があります。

移植では、他人の臓器もしくは(骨髄にある)造血幹細胞を患者さんの体内に入れるので、正常な免疫システムはそれらを異物と認識し攻撃してしまいます。

これを「拒絶反応」と呼びます。

新しい組織が患者さんの体内で機能するように、移植を受けた患者さんは免疫抑制剤を服用してこの反応を防がなければいけません。

どのように新しい組織が免疫システムによって標的にされる仕組み、また免疫抑制剤が拒絶反応を防ぐメカニズムを学べたので、より理解が深まりました。

論文抄読ゼミ

授業外では、少人数のゼミで論文の基本的な読み方を学んだり、お互いに最近読んだ論文をプレゼンしあったりしていました。

初めてのエッセイ形式の試験(医学部では実技試験と選択式の筆記試験)は、結局オンラインで行われたということもあり中々大変でしたが、このゼミで論文に読み慣れていたので、課題の論文と自分の知識を融合させて論理的に議論を展開する力が少し伸びたと信じています。

 

研究プロジェクト

授業とは別に、半年強研究室に配属され、自分の興味に合った基礎研究のプロジェクトを行います。

UCL内のラボで研究を行う学生が多いのですが、私はFrancis Crick Instituteという、2020年ノーベル生理学賞を受賞したPeter Ratcliffe教授の研究室もある著名な研究施設で研究する機会に恵まれました。

f:id:ma-c-s:20210405164240j:plain

 

 私はここで、がん腫瘍の環境を取り巻く免疫細胞や基質細胞の配置が、肺がんの危険因子(喫煙など)や患者さんのプロフィール(年齢やがんのステージ)によってどのように変化し、また再発や予後にどのような影響を与えるか研究していました。

プログラミング言語をかじりながら機械学習を用いた画像分析ソフトを駆使して、何百枚もの肺がん画像を分析していきました。

研究室内で最終プレゼンを行って研究室長の教授から良いフィードバックをいただけた時や、論文としてまとめ終わった時は、非常に達成感がありました。

また、研究室の壁を越えて様々な研究者の方とお話する機会があったので、臨床医を目指して病院実習をこなすだけでは知りえないような医学研究の重要性や醍醐味を感じました。

 

まとめ

パンデミックの影響で、最後はリモートで研究を進めたりオンラインで試験を受けたりとバタバタして終わってしまったiBScですが、こうやって振り返ると「とても貴重な経験だったな」と改めて感じます。

基礎研究からは離れてしまっていますが、今取り組んでいる医療現場での研究に今後も継続的に関わっていくつもりです。

論文は頻繁に読まないと理解するスピードが遅くなりそうなので、目を通す習慣をつけないとなあ…。