まーしーのロンドン大医学部生活

University College London医学部6年生のロンドン生活、医学部での経験をお伝えします!(内容は個人の見解に基づくものであり、所属組織・その他団体と一切関係ありません)

どうしてUCLの医学部を選んだの? ②国選び

「どうしてUCLの医学部を選んだのか」という質問に対する答えとして、前回は海外の医学部に挑戦する決断に至った経緯をまとめました。

今回は、海外とひとくくりに言っても様々な国の選択肢がある中で、私が留学先として検討した国や、最終的にイギリスの大学に出願することにした理由を紹介したいと思います。

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↑医学部の面接でリーズに行ったとき。冬のイギリスの気候&アクセントに困惑しました…笑

 

大学留学で一番メジャーなアメリ

私が通っていたインドの高校では卒業生の多くがアメリカの大学に進学しましたし、日本でも留学というと真っ先にアメリカが頭に浮かぶ人が多いのではないかと思います。

アメリカには医学や公衆衛生で世界的に有名な教育・研究機関が多く存在しますが、医学を学び医師になろうとする場合、過程が日本と全く異なります。

日本の医学部では、(高校卒業後)学部課程で医学を専攻し6年間で医師免許を取得できますが、アメリカでは大学院で医学を専攻します。

そのため、学部を卒業した後医学大学院で勉強することになるので、免許取得までに学部4年+大学院4年=計8年間かかります。

学部課程の4年間には、Pre-medと呼ばれる医学部準備コースで医学の基礎となる生命科学や生化学等を専攻する学生が多いと聞きますが、全く医学とは関係ない専攻から医学大学院に出願する学生もいます。

私はなぜアメリカを選ばなかったのか

まず、一番大きな理由は、医師免許取得までにかかる8年間という年数です。

医学部卒業後も、医師として一人前になるまでに初期研修や後期研修とかなりの年月を要するので、それなら6年間で免許を取得できる日本の医学部の方が早く勤務経験を積めるなと考えていました。

しかし今同じ決断を迫られるのであれば、医師として生涯働く場合専門医になってからの期間が長いことを考慮して、医学部を何年間で卒業するかより、医学部在籍中にどのくらい医師としての素養を身に着けられる環境・教育なのかに重点を置いて判断したいです。

他にアメリカで医師を目指す場合懸念していた点は、大学院受験です。

アメリカの医学大学院は倍率がとても高く、留学生に対しては枠がより少なく設定されているのでさらに門戸が狭くなっています。

出願準備として医学研究やボランティア活動に精力的に活動したり、アメリカのPre-medコースを好成績で卒業したりしても、大学院に合格できる保証、つまりは医師の資格が得られる保証はありません。

私は必ず医師免許を取得して将来臨床をやりたいと思っていたので、無事卒業すれば医師免許を取得できる環境で早く医学を学びたかったです。

 

最近日本人留学生が増えている東欧諸国

チェコハンガリースロバキア等の医学部に進学する日本人の学生が、近年少しずつ増えています。

私の周りで東欧の医学部に出願する人はいなかったのですが、以前取材いただいた医学部受験雑誌のほかの記事で読んだことがあり、「こんな国の選択肢もあるんだな」と驚きました。

英語で医学が学べること、学費や物価が安いこと、日本の医学部に比べて入学が簡単であること等が魅力であるようです。

なぜ私は東欧諸国を選ばなかったのか

日本人の先輩が多くいるのであればキャリア相談が出来そうで心強く思いましたが、一番のネックは現地の言語でした。

現地の患者さんを診て、症状の把握だけでなくその人に合った治療の提案をするためには、円滑なコミュニケーションが欠かせません。

しかし、英語での医学の勉強と並行してその国の言語を習得することは大きな負担ですし、将来その言語を生かし東欧に残って臨床医として働く考えはなかったので、英語圏の医学部で患者さんを診る経験を積みたいなと思いました。

 

最終的に選んだイギリス

イギリスは、

という条件を2つとも満たしていました。

また、日本の医学部と比べると、

  • 臨床実習の期間が長い(大学のシステムにもよるが在籍期間の半分以上)
  • 医学研究をしながら1年間で理学士号を取得できる仕組みがある
  • コミュニケーション能力、倫理性といった医師としての素養を重視している

といった特徴も魅力的でした。

しかし、イギリスの大学では、国内生と比べて留学生の学費が高く設定してあるうえ(UCLの医学部では国内生の4倍)、留学生は大学の奨学金制度をほとんど利用できません。

そのため、出願先としてイギリスの大学が有力候補になった時に、イギリスへの学部正規留学を対象としている奨学金を探し始めました。

 

検討しそびれた国

学部課程から医学を学べる英語圏の国は他にもあり、例えばオーストラリアが挙げられます。

UCLの結果待ちの期間に、学校の先生から「もしイギリスがだめでも、南半球で始業時期が異なるオーストラリアならまだ出願が間に合うのではないか」と言われ、なるほどと思いました。

好待遇や暮らしやすさを求めてイギリスの医師が移住するケースを頻繁に聞くので、今となっては、もっと早くオーストラリアという選択肢に気づいて候補に含めれば良かったなと思ったりもします。笑

 

最後に

留学先選びで重視する点は人によって様々かと思いますが、参考になれば嬉しいです!