まーしーのロンドン大医学部生活

University College London医学部6年生のロンドン生活、医学部での経験をお伝えします!(内容は個人の見解に基づくものであり、所属組織・その他団体と一切関係ありません)

医学生としてコロナ対応のお手伝い ③病院外でのボランティア

イギリスでは、ロックダウンのおかげか1月上旬から徐々に感染者数が劇的に減っており、また最近になってやっと死者数も減少に転じています。

病院への負担もピーク時に比べると軽くなりましたが、依然として緊急治療室では人手が不足しているので、医学生の病院でのお手伝いは今後も実習と並行してしばらくの間継続される予定です。

 

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 ↑先日朝7時半ごろの朝焼けがとても鮮やかでした!

 

今回は、特に最初の感染拡大の際(昨年春~夏)に盛り上がった、病院外やオンラインでの医学生のボランティア活動について紹介したいと思います。

 

病院外のボランティアの必要性とメリット

医療は、病院内だけでは決して完結しないもので、特にパンデミックのような公衆衛生危機には社会全体で一丸となって感染予防や医療体制支援に努める必要があります。

病院内での活動には、医学生の中でも臨床実習を既に開始している高学年の学生しか参加できません。

しかし、病院外やオンラインの活動であれば、

  • 臨床実習をまだ開始していない低学年の学生
  • イギリス国外でオンライン授業を受けている学生
  • 重症化リスクが高い家族と同居している学生

等、さらに多くの学生が協力できます。

昨年春は臨床実習を開始していなかった私も、3月末以降日本から試験勉強の合間を縫ってオンラインでの活動に参加していました。

 

医療従事者の買い出しのお手伝い・ベビーシッター

勤務時間が長くなった医療従事者は、日々の食料品の買い出しや、休校になり家で過ごす子どもの世話に、思うように時間を割けなくなっていました。

そこで、春に立ち上がった以下のプラットフォームを活用して、授業がオンラインに移行または中止となった医療系学生が、代わりにスーパーに買い物に行ったり、子どもやペットのお世話をしにお家を訪問したりしていました。

 

www.nationalhealthsupporters.co.uk

 

知らない学生を家に入れることに抵抗がある方もいると思いますが、かねてから学生のボランティア活動が盛んなイギリスでは、対面のボランティア活動を開始する前に、学生は犯罪経歴証明書を提出する仕組みが整っています。

そのため、(もちろん100%保証はできませんが)学生ボランティアを信頼しやすい仕組みとなっています。

 

PPE(Personal protective equipment:個人用防護具)の再分配

日本でも医療従事者用のPPE(マスク、手袋、ガウン等)が不足し、COVIDの患者さんに対応する場合の十分な装備が用意できないと報道がありましたが、イギリスでも同じ現象が起こっていました。

民間施設(建設会社、工場、研究所等)に予備のPPEが余っていることに目を付け、PPEの寄付を募り、集まったPPEを病院に再分配するチャリティー活動が、医師と医学生によって行われました。

www.medsupplydrive.org.uk

  • 参加する上での研修
  • 寄付の呼びかけ
  • PPEを持っている施設との連絡

など活動の多く(PPEの収集と分配以外)がオンラインで行われたので、場所を問わず協力することが出来ました。

この団体のページによると、50万個以上のPPEが最前線でコロナ対応に追われる病院に届けられたそうです!

 

最後に

医療が逼迫している時には、直接現場でお手伝いをすることも、医療従事者が集中して安全に仕事に取り組める環境を整えるお手伝いをすることも、両方大切だと思います。

私と同じ立場の医学生が上記のような活動を立ち上げていると思うと、医療を取り巻く社会でのニーズに気づく観察力がまだまだ私には足りないなと感じます。

置かれている状況に理由をつけて行動しないこともできますが、難しい状況でも出来ることを模索し続ける人材に成長していきたいです!