まーしーのロンドン大医学部生活

University College London医学部6年生のロンドン生活、医学部での経験をお伝えします!(内容は個人の見解に基づくものであり、所属組織・その他団体と一切関係ありません)

医学生としてコロナ対応のお手伝い ①準備

ロンドンの感染状況はまだまだ回復の兆しが見えません...。

私の大学の附属病院の様子がBBCで取り上げられていました(日本語字幕付きです)。

病院のキャパを拡大して対応しているため、医療従事者もかなり身体的・精神的に疲弊している様子が伝わってきます。

www.bbc.com

 

医学生がどんなお手伝いをするの?

拡大する病床数や増加するコロナ入院数に対応するため、私の実習先の病院では、12月後半から医学生も志願制で主に集中治療室(ICU)でお手伝いをしています。

ICUの他にも、

  • コロナの患者さんが入院している一般病棟でのお手伝い
  • 患者さんの家族とする役割
  • ワクチン接種のお手伝い

などの募集が随時かかっていますが、今一番人員を必要としているのはやはりICUのようです。

ちなみに、私の実習先の病院のICUでは、通常40床程度で看護師が1対1で治療に当たるそうですが、現在90人以上を受け入れているため、1人の看護師が時には3~5人に対応しているそうです。

ICUで必要とされる高度な処置や容体管理ができる看護師の人員不足を少しでも補うため、タスクを細分化し必要な資格や知識を明確にすることで、ほかの看護師や私たち医学生といった本来ICUで活動しない人材も活用できる仕組みを整えています。

医学生はHealth Care Assistant (HCA)として病院に臨時で雇用され、NHS(イギリスの国民保険サービス)の区分に則った時給をいただきながら、医学部のカリキュラムの病院実習の空き時間に参加しています。

普段行わないタスクをこなすことになるので、シフトを始める前に様々な準備を済ませる必要があります。

 

1.研修

資格や現在のポジションを基に同じカテゴリーに区分される人材の中でも、人によって経験や知識には差があるので、活動場所とそこでの活動内容別の研修を受ける必要があります。

一般病棟でコロナ対応に当たるための研修
  • エプロン、手袋、マスクの着用と廃棄方法
  • どのタイミングで手洗いをするか
  • 効果的な手の洗い方、手を使わない蛇口の操作
  • 個室のドアについている様々な隔離のサインの種類

等、普段の実習時にも教わる基礎的な内容が多かったです。

 

ICUでコロナ対応に当たるための研修

ICUは一般病棟と構造が異なり、また今は一方通行(入り口でPPEを身に着けて出口でPPEを廃棄する)となっているので、一通り内部を案内されました。

その後、

  • Observation(観察:心拍、体温、呼吸数、酸素飽和度、血圧等)のチャートへの記入の仕方
  • 集中治療が出来る看護師を呼ぶタイミング(容態の変化や呼吸器具のずれのサイン)
  • 新規入院患者さんを受け入れるための器具の準備の仕方
  • 患者さんの口腔ケア、体位変換のお手伝いの仕方

等、医学生ICUで担当するタスクについて学びました。

 

2.マスク着用テスト

COVIDの患者さんに直接触れ、近距離で過ごすことになるので、医学生もPPE(personal protective equipment: 個人防護具)を着用します。

コロナ対応に当たる学生だけでなく、コロナの患者さんを診る可能性がある科で実習を行う学生も、優先的に着用テストを受けます。

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出典:BBC - Coronavirus: Has the NHS got enough PPE?



マスクは顔にぴったりフィットしていなければ意味がないので、色々な形やサイズのマスクから自分に合うものを知る必要があります。

着用テストでは、マスクの着用方法について教えていただき、実際にマスクを装着した後大きな透明な筒のようなものを被ります。

筒の真ん中に開いている穴から苦い味のするスプレーを30秒ごとに筒の中に噴射されるので、首を動かしたり、喋ったり、お辞儀をしたりして、苦い味がするかどうか確かめます。

つまり、このテストで苦い味がしてしまうと、同じようにコロナウイルスもマスク内部に侵入してしまうかもしれないため、違うマスクを試さなければいけません。

私は最初少し苦い味がしていたのですが、最後に筒の中でマスクを外したところ比べ物にならないくらい苦い味が押し寄せたので、マスクが機能していたと分かりました。笑

ちなみに、ひげを伸ばしているインドや中東系の男子学生も多いのですが、マスクがぴったり着用できないので剃るように言われることがあります。

 

3.ワクチン接種

病院実習は現在継続されており日々患者さんと接するため、コロナ対応のお手伝いをするかどうかにかかわらず、医学生は病院スタッフと同じ待遇でワクチンを受けられます。

私も実習先の病院で、早速第1回目のワクチンを受けました。

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↑Pfizerのワクチンでした。

ワクチンを接種した後も、ソーシャルディスタンスや公共の場でのマスク着用を守るよう、強く念押しされました。

私は重篤な副作用はありませんでしたが、注射した箇所の筋肉痛が2~3日続きました。

イギリスでは10週間後に2回目を接種することになっているので、私の場合3月後半となります。

 

準備完了!

このほかに臨時雇用に必要な書類の記入、(留学生であれば)ビザのコピーの提出といった事務作業を終えれば、晴れて現場で貢献できます!