まーしーのロンドン大医学部生活

University College London医学部6年生のロンドン生活、医学部での経験をお伝えします!(内容は個人の見解に基づくものであり、所属組織・その他団体と一切関係ありません)

コロナ禍での病院実習

コロナウイルスパンデミックを受けて多くの学校がオンラインに切り替わりましたが、実習時間が卒業要件に含まれている医学部のようなコースでは、完全オンラインとはいきません。

これまでのUCL医学部での病院実習の状況の変化について、時系列で簡単にまとめます。

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↑私の実習先の病院です、こんなに晴れていた頃が懐かしい...!

 

2020年3月~7月

2月下旬「3月末からのイースター休暇で感染拡大地域(主にアジア)に向かうと、休暇後の講義や学年末試験に支障が出るかもしれない」と大学から連絡が来て、「春休み帰国できないかも」とガックリしていたのも束の間、イギリスで感染が急速に広がった結果、3月中旬には大学が閉鎖されてしまいました。

病院での臨床実習は全て中止され、オンライン講義に切り替わりました。私はこの頃まだ臨床実習をしていなかったので先輩方から聞いた話ですが、診療科によって講義の質や頻度にかなりバラつきがあったようです。

通常高学年では7月末に学年末試験がありますが、実技試験はなく筆記試験のみとなりました。

 

2020年9月~12月

感染拡大防止を考慮した実習スケジュール

新学年が9月に始まり、オンライン講義+病院実習のスタイルで1年間のスケジュールが組まれました。

学生間の感染拡大を防ぐため、

  • 1年間固定の少人数の学生グループで診療科を回る
  • 病棟に出る週、病棟以外の手術室・地域クリニック等で実習を行う週をグループごとに決める
  • 通常は3つの大学病院を1年かけてローテーションしますが、実習を行う病院を1年間固定する
  • 夜間診療や土日を活用して実習時間を分散させる

といった策が講じられています。

病院でもオンライン外来が普及したので、私たちも配布されているiPadから参加しました。外来患者さんを直接診て会話する機会は減ってしまったので、診療科によっては病変を見つける経験が不足しているなと感じています…。

 

ロンドンでの感染再拡大

私は10月後半に感染症科で実習をしていたのですが、科で受け持っている入院患者さんの多くがコロナに罹っていたため、あまり問診の機会がなかったこと、感染症科の毎朝のミーティングがコロナの新規入院患者さんの話題で持ちきりだったことを覚えています。

ロンドンは11月~12月の1か月間ロックダウンとなり、感染者数は一旦少し落ち着きました。しかし、12月頭にロックダウンが解除される直前からじりじりとまた増え、12月中旬から感染者数が急増したため、結局解除後2週間程度でTier 4(実質的なロックダウン) 措置となりました。

 

2020年12月~

大学での対面授業中止

12月後半にさらに感染がイギリス全土で広がったので、現在はより広い地域がTier 4の対象となり、学校も対面授業は中止されオンライン授業に移行しています。

UCLは、2月下旬のReading week(学期の途中にある1週間のお休み(医学部は元々ありませんが笑))終了まで対面授業を全く行わない方針としています。

 

医療が逼迫する中で、病院実習をどうやって継続するか

しかし、医学部は実習を再開しました。ロックダウンでもTier 4でも病院実習を止めていないのは、イギリス保健相が医学生をKey workerとみなしているからです。

将来の医療提供のために、対面の実習とオンライン講義を組み合わせた形で出来る限り医学教育を継続しています。

私は今学期、呼吸器内科→循環器内科→救急医療→内分泌の実習を行う予定でしたが、この診療科の病棟はどこもコロナの患者さんで現在いっぱいなので、当初のスケジュールは一旦白紙になりました。

現在は、新しくできた「Emergency」というモジュールとして、人数を制限しながらの病院実習と、救急医療で有用な問診や処置に関するオンライン講義を並行して行っています。

かなり医療が切迫している状況なので、現在は実習に支障が出ない範囲で、主に集中治療室(ICU)やコロナ患者さんを受け入れている一般病棟でお手伝いするよう、病院・医学部双方からお願いされています。

臨時で病院に雇われる形で医学生も出来る範囲のお手伝いをするのですが、これについても近々書きたいと思います。